生徒のやる気と自信をグングン伸ばす褒め方テクニック

「生徒にもっと自信を持ってほしい」「やる気を引き出すには、どう褒めたらいいんだろう?」
教室を運営されている先生方は、日々生徒さんのモチベーションと向き合い、様々な工夫をされていることと思います。
先生からの「褒め言葉」は、生徒さんの心に深く響き、レッスンへの意欲や自己肯定感を育む上で、非常に重要な役割を果たしています。

しかし、「褒める」のは意外と難しいもの。褒め方によっては、かえってプレッシャーを与えたり、やる気を削いでしまったりすることも…。
この記事では、生徒さんの「できた!」や「頑張り」を効果的に認め、さらなる成長を促すための具体的な褒め方のコツを、教室の場面を想定しながらご紹介します。ぜひ、先生の指導力アップにお役立てください。

1. なぜ「褒め方」が指導で大切?生徒の成長を促す基本

効果的な褒め方は、生徒さんの心に栄養を与え、健やかな成長を教室でサポートする上で欠かせません。具体的には、レッスンへのモチベーション向上、自己肯定感の育成、先生との信頼関係構築などに繋がります。

ただし、注意したいのは、先生の期待に応えさせようとしたり、他の生徒さんを意識させたりするような、指導者の都合による褒め方は逆効果になりやすいということです。生徒さん自身の成長や幸福を願う気持ちに基づいた「褒め方」を意識することが大切です。

そのための基本的な考え方として、以下の点を押さえましょう。

  • 結果だけでなく「頑張った過程」や「以前からの変化」を見る
    点数や完成度だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫、前回からの進歩に目を向けましょう。
  • 能力や才能ではなく「具体的な行動」や「存在」を認める
    「頭いいね」より「最後まで粘り強く考えたね」、「〇〇してくれて助かるよ」といった具体的な行動や、その生徒さん自身の存在を肯定する言葉を選びます。
  • 一方的な評価ではなく「先生の気持ち(感謝・喜び)」を伝える
    「よくできました」という評価だけでなく、「〇〇してくれて先生も嬉しいな」「一生懸命な姿に感動したよ」のように、先生自身の素直な気持ちを伝えましょう。
  • 他の生徒さんと比較せず「その子自身の過去」と比較する
    「〇〇ちゃんより上手」はNG。「前より〇〇ができるようになったね!」と、その生徒さん自身の成長に焦点を当てます。
  • 「教えてあげる」という上から目線ではなく「共に学ぶ」対等な目線を意識する
    先生が生徒さんを一方的に評価するのではなく、共に目標に向かうパートナーとして、温かいメッセージを伝えましょう。

これらの基本を踏まえ、教室で使える具体的な褒め方のテクニックを見ていきましょう。

【褒め方の基本 for Teachers】
結果<過程、能力<行動、評価<感情、他人比較<過去比較、上から<対等
操作でなく、生徒さんの成長を願う気持ちで、教室での関わりを考えましょう。

2. 【実践テクニック①】頑張った「過程」を具体的に褒める

生徒さんの努力や工夫、成長そのものに焦点を当てる褒め方です。レッスンへの意欲や粘り強さを育てます。

頑張りに焦点を当てる褒め方(プロセス褒め)

結果だけでなく、そこに至るまでの行動や努力、思考の過程を具体的に言葉にして伝える方法です。生徒さんは「先生は自分の頑張りを見てくれている」と感じ、自己肯定感や主体性、挑戦する心が育まれます。

【教室での例:難しい課題に挑戦した生徒さんへ】

  1. 行動を具体的に描写する
    「今日の〇〇、難しい部分もあったけど、最後まで諦めずに取り組んでいたね。」
  2. 良かった点を具体的に指摘する
    「特に、何度も試行錯誤しながら、粘り強く考え続けていたところが素晴らしかったよ。」
  3. 先生の気持ちを伝える
    「その頑張る姿を見て、先生も『すごいな!』って感心したよ。」
  4. (可能であれば)次に繋げる質問をする
    「どんなところが特に難しかった?」「次はどうしたらもっと良くなるか、一緒に考えてみようか?」

理由と結果を結びつける褒め方(因果を伝える)

「〇〇を頑張ったから、□□ができるようになったんだね!」というように、成果(結果)とその原因となった行動(プロセス)を結びつけて伝える褒め方です。生徒さんが努力や工夫の大切さに気づき、行動力や試行錯誤する力を育みます。

【教室での例】

  • お家でしっかり復習したから、今日の応用問題も解けたんだね!」
  • 失敗しても諦めずに何度もチャレンジしたから、この難しい技ができるようになったんだね!」
  • 色々工夫して練習方法を考えたから、前よりずっとスムーズにできるようになったんだね!」
【プロセスを褒める】
頑張った過程を具体的に認め、行動と結果を結びつけて伝えることで、生徒さんの主体的な学びと粘り強さを引き出します。

3. 【実践テクニック②】さりげない承認と「先生の気持ち」を伝える

直接的な評価ではなく、先生の気持ちを表現したり、さりげなく認めたりすることで、生徒さんの心に響かせる褒め方です。

さりげない独り言での承認

生徒さんに直接言うのではなく、先生が良いと思ったことや感心したことを、聞こえるように独り言のように呟く方法です。構えずに自然に褒められ、生徒さんも「本心で言ってくれている」と感じやすいメリットがあります。褒めるのが少し苦手な先生も試しやすい方法です。

【教室での例】

  • (生徒さんが集中して取り組んでいる姿に)「お、すごい集中力…!」
  • (後片付けを丁寧にしている生徒さんに)「丁寧だなあ、助かるなあ…」
  • (素晴らしい作品や演奏に対して)「うわー、すごいなあ…」「感動しちゃうなあ…」

先生の気持ち(感情)を伝える褒め方

「上手」「えらい」といった評価的な言葉ではなく、生徒さんの行動や成果に対して、先生が感じたポジティブな感情(嬉しい、助かる、感動、感心など)を「私は」を主語にして素直に伝える方法です(アイメッセージ)。生徒さんが受け入れやすく、先生との温かい関係構築にも繋がります。

【言い換え例】

  • 「よくできました」 → 「今日の〇〇、すごく良かったよ!先生も嬉しいな!」
  • 「えらいね」 → 「難しいことなのに頑張ったね、先生感心しちゃった!」
  • 「いい考えだね」 → 「そんなアイデア、先生思いつかなかった!すごいね!」
  • 「ありがとう」 → 「〇〇してくれて、本当に助かったよ。ありがとう!」
【気持ちで伝える】
さりげない「独り言」や、先生自身の「嬉しい」「助かる」といった素直な気持ち(感情)を伝えることで、生徒さんの心に自然に届き、信頼関係を深めます。

4. 【実践テクニック③】「成長の実感」と「多面的な良さ」を引き出す

生徒さん自身の成長や、普段は見えにくいかもしれない素敵な一面に光を当てる褒め方です。

成長や変化を伝える褒め方(過去との比較)

他の生徒さんと比べるのではなく、その生徒さん自身の過去と現在を比べて、「前より〇〇になったね」と具体的な成長や変化を言葉で伝える方法です。これにより、生徒さんは自分の進歩を客観的に認識でき、努力が報われていると感じることができます。「やればできる」という感覚(自己効力感)も育ちます。

【教室での例】

  • 〇ヶ月前と比べて、すごく音が安定してきたね!」
  • 最初の頃は難しそうだったけど、今はこんなにスラスラできるようになったね!」
  • 前はすぐに諦めていたけど、今日は最後まで粘り強く取り組めたね!」

ギャップを活かした褒め方(多面的な見方を伝える)

「〇〇なところもあるけれど、△△なところが素晴らしいね」というように、普段の様子と、あまり表に出ていないかもしれない良い面や意外な一面を結びつけて伝える方法です。「先生は自分のことをよく見てくれている」という信頼感が増し、生徒さん自身も自分の多面的な良さに気づくきっかけになります。

【教室での例】

  • 「一見おとなしそうに見えるけど、実はすごく面白いアイデアを持っているんだね!」
  • 「少しそそっかしいところもあるけど、困っている子がいるといつも優しく声をかけてあげられるね。」
  • 「人前に出るのは苦手だと言っていたけど、今日の発表はとても堂々としていて素晴らしかったよ!」
【成長と個性を引き出す】
過去との比較で成長を具体的に示し、ギャップを活かして多面的な良さを認めることで、生徒さんの自己肯定感をさらに高めます。

5. 褒め効果をさらに高める!言葉以外の表現も大切に

効果的な褒め言葉を選んだら、それを「いつ」「どのように」伝えるかも、褒めの効果を大きく左右する重要な要素です。言葉だけでなく、非言語的な表現も意識してみましょう。

褒める「タイミング」を見極める

「できた!」瞬間に褒めるのはもちろん効果的ですが、それだけではありません。状況に応じてタイミングを見計らうことで、より心に響くメッセージになります。

  • 頑張っている「最中」の励まし
    難しい課題に挑戦している時、「その調子!」「いいよ、粘り強くできてるね!」と声をかけることで、諦めそうな気持ちを後押しできます。
  • 「できた直後」の承認
    目標を達成したり、新しいことができるようになったりした瞬間に「やったね!」「すごい!」と一緒に喜びを分かち合うことで、達成感が倍増します。
  • レッスン後の「振り返り」での評価
    少し時間が経ってから、「今日の〇〇、すごく集中してたね」「あの時の△△、すごく良いアイデアだったよ」と具体的に振り返ることで、生徒さん自身が自分の行動や成果を客観的に認識しやすくなります。
  • 日常の中での「さりげない一言」
    挨拶がしっかりできた時、準備や片付けを手伝ってくれた時など、日々の小さな良い行動を見逃さずに「ありがとう、助かるよ」「しっかり挨拶できて気持ちいいね」と伝えることも大切です。

言葉だけじゃない!「伝え方」で効果倍増

同じ言葉でも、どのような表情や声のトーンで伝えるかによって、受け止め方は大きく変わります。言葉と非言語メッセージを一致させることが重要です。

  • 表情を豊かにする
    心から嬉しい時は満面の笑顔で、成長を真剣に認めたい時は穏やかで真摯な表情で、驚くような成果には目を見開いて感嘆の表情を見せるなど、言葉に感情を乗せましょう。
  • 声のトーンと大きさを意識する
    明るく弾んだ声で喜びを伝えたり、落ち着いた優しい声で安心感を与えたり、少し声を張ってクラス全体で称賛したりと、場面に応じて使い分けます。
  • 目線(アイコンタクト)を合わせる
    基本的には生徒さんの目を見て伝えることで、真剣さや誠実さが伝わります。ただ、恥ずかしがり屋な生徒さんには、少し目線をずらしたり、一緒に作品を見ながら話したりする方が心地よい場合もあります。
  • ジェスチャーやスキンシップも活用する
    言葉に加えて、グッドサイン、拍手、ハイタッチ、あるいは状況に応じてポンと肩を叩くなどのジェスチャーは、気持ちをより強く伝える補助となります。(ただし、身体接触は生徒さんとの関係性や年齢、性格に十分配慮してください。)
  • 生徒さんのタイプに合わせて工夫する
    活発で褒められるのが好きな生徒さん、人前で注目されるのが苦手な生徒さんなど、個性に合わせて伝え方を工夫する視点も大切です。

周りの生徒さんへの配慮も忘れずに

特定の生徒さんを褒める際には、他の生徒さんが「自分は褒められていない」と疎外感を感じないよう、注意が必要です。
「みんなそれぞれに良いところがある」「順番にみんなの頑張りを見ているよ」というメッセージが伝わるように、日頃から一人ひとりの生徒さんに目を配り、個々の良い点や成長を見つけて伝えることを心がけましょう。

【褒め効果を高める表現】
ベストなタイミングを見計らい、言葉と表情・態度を一致させた温かい伝え方を心がけましょう。
生徒さんの個性や、周りの生徒さんへの目配りも大切です。

6. まとめ:「褒め上手」な先生になって、生徒の可能性を最大限に!

効果的な褒め方は、子供たちのやる気と自信を育て、成長を力強く後押しする、先生にとって大切な指導スキルです。
この記事でご紹介した様々な方法は、特別な才能ではなく、先生方が日々意識し、実践することで誰でも身につけられるものです。

テクニックだけにとらわれず、何よりも生徒さん一人ひとりの成長を心から願い、その頑張りや良いところを認め、伝えようとする温かい気持ちが土台となります。
様々な褒め方を試しながら、目の前の生徒さんとの信頼関係を深め、それぞれの可能性を最大限に引き出すサポートをしていきましょう。

先生方の「褒め上手」への挑戦が、教室全体の活性化と、生徒さんたちの輝く笑顔に繋がることを心から応援しています!

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