どんな教室を開こう?少子化でも伸びる習い事ジャンルとその共通点|開業ヒント
「子供向けの教室を開きたいけど、どんなジャンルが良いんだろう?」「今、保護者はどんな習い事に関心があるのかな?」
少子化が進む中でも、子供一人あたりにかける教育への期待は高まっており、習い事市場にはまだまだ可能性があります。しかし、成功するためには時代のニーズに合ったジャンル選びや教室コンセプトが重要になります。
この記事では、これから子供向け教室の開業を考えている方に向けて、近年の調査データなどを参考に、今、市場が伸びている、あるいは根強い人気のある習い事ジャンルと、その背景にある保護者の意識やニーズの共通点を探ります。
あなたの「やりたいこと」と「世の中のニーズ」を結びつけ、成功する教室づくりのヒントを見つけてください。
目次
1. 教室選びの背景:保護者の変化する視点を理解する
少子化だからこそ、保護者は子供一人ひとりの教育により一層の期待を寄せています。限られた時間とお金の中で、「この子の将来のために本当に役立つ習い事をさせたい」という思いが強くなっています。
近年の調査を見ると、保護者が習い事を選ぶ際には、単なるスキル習得だけでなく、
- 将来必要となるスキル(英語力、思考力、ITスキルなど)
- 学力テストでは測れない人間的な力(主体性、協調性、やり抜く力など)
- 子供自身の興味・関心・「楽しい」という気持ち
- 心と体の健やかな発達
といった多様な視点が重視されていることが、学研教育総合研究所(コエテコ記事より)やアニヴェルセル総研(2024年調査)などの各種調査からもうかがえます。これから教室を開く上では、こうした保護者の変化する価値観やニーズを理解しておくことが、成功への第一歩となります。
子供の将来性、人間的成長、本人の興味、心身の健康など、保護者が何を重視して習い事を選んでいるかを知ることが、教室コンセプト作りの基本です。
2. 【注目ジャンル①】将来を見据えた「未来スキル」系(英語・プログラミング)
これからの社会で必要不可欠とされるスキルを学べるジャンルは、保護者からの強い支持を集めており、市場も成長しています。これから教室を開業するなら、特に注目したい分野です。
ジャンル | 注目される理由・背景 | 期待されるスキル |
---|---|---|
英語・英会話 | ・グローバル化の進展 ・小学校での必修化 ・各種人気ランキングで常に上位(コエテコ, アニヴェルセル総研など) |
・語学力 ・コミュニケーション能力 ・異文化理解力 |
プログラミング・ ロボット教室 |
・小学校での必修化 ・大学入試への導入 ・市場規模が急拡大中(GMO/船井総研 2024年調査) |
・論理的思考力 ・問題解決能力 ・創造力 ・ITスキル |
これらのジャンルで開業する場合、既存の教室との差別化を図るため、独自のカリキュラムや指導法、対象年齢(幼児向け、小学生向けなど)の特化などを検討すると良いでしょう。
英語とプログラミングは、将来への投資として保護者の関心が非常に高い分野です。
市場の成長性も高く、新規参入のチャンスも大きいと言えます。
3. 【注目ジャンル②】学力+α!「非認知能力」を育む学び
近年、学力だけでなく、目標達成意欲、協調性、粘り強さといった「非認知能力(生きる力)」を重視する保護者が増えています。特定のスキル習得だけでなく、「人間的な成長」も習い事に期待されているのです。
様々なジャンルの習い事が、その活動プロセスの中で非認知能力を育むと考えられています。(参考記事:comotto, Mint Desk, CARPEDIA)
習い事のジャンル例 | 育まれる非認知能力(例) |
---|---|
スポーツ系 (水泳、体操、チームスポーツなど) |
粘り強さ、目標達成意欲、規律性、協調性、コミュニケーション能力 |
芸術系 (音楽、絵画、演劇、ダンスなど) |
継続力、自己調整能力、表現力、創造性、感性、集中力 |
プログラミング・ ロボット系 |
問題解決能力、論理的思考力、創造力、試行錯誤力、やり抜く力 |
探求型・体験型 (サイエンス、野外活動など) |
主体性、好奇心、思考力、協調性、社会性 |
これから教室を開くなら、どのジャンルであっても、自分の教室がどのように生徒さんの「非認知能力」育成に貢献できるかを考え、それを保護者に伝える視点を持つことが重要になります。
主体性、協調性、粘り強さといった「生きる力」育成への関心が高い。
スポーツ、芸術、プログラミングなど、様々なジャンルでこの点をアピールすることが可能です。
4. 【根強い人気】心と体の健やかな成長を支える「運動系・芸術系」
新しいトレンドがある一方で、子供の心と体の健やかな発達を願う気持ちに応える、定番のジャンルも依然として高い人気を維持しています。
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運動系(特に水泳)
水泳は、多くの調査で人気No.1の習い事です(例:PR TIMES掲載調査 2024-25, ヒューマンアカデミー調査 2025)。基礎体力向上、心肺機能の強化、全身運動、水難事故防止といった、心身の健康と安全に直結するメリットが、他の習い事にはない価値として強く支持されています。体操や、近年人気のダンスなども、基礎的な運動能力やリズム感を養う点で根強い人気があります。 -
芸術系(特にピアノ)
ピアノを中心とした音楽系の習い事も、特に女の子を中心に安定した人気があります(例:アニヴェルセル総研調査)。情操教育、集中力、継続力などが期待されています。絵画教室なども創造性を育む場として選ばれています。
これらの定番ジャンルで開業する場合は、他の教室との差別化がより重要になります。指導の質の高さ、独自のメソッド、対象の絞り込み(幼児専門、コンクール対応など)、オンラインとの組み合わせなどが考えられます。
水泳やピアノなどは、心身の発達という普遍的な願いに応える定番として依然人気。
これらの分野で開業する場合は、他教室との差別化が成功の鍵です。
5. 【選ばれる理由】「専門性」と「教室ならではの体験価値」
家庭学習教材やオンラインサービスが充実する中でも、人々が「教室に通う」ことを選ぶ理由は何でしょうか。それは、教室だからこそ得られる価値があるからです。
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専門的な指導・環境
その道のプロから直接指導を受けられること、専門的な設備や環境が整っていることは大きな魅力です。「家では教えられない」「家ではできない」ことが教室の価値になります(ベネッセ教育情報サイト記事参照)。 -
仲間との関わり・集団での学び
他の生徒さんと一緒に学ぶことで生まれる、協調性やコミュニケーション能力の育成は、集団指導ならではのメリットです。互いに刺激し合い、高め合う経験は、教室ならではのものです。 -
「場」の力・モチベーション維持
決まった時間に教室に行くことで、学習習慣が身につきやすくなります。周りの生徒さんの頑張る姿を見て、モチベーションを維持しやすいという効果もあります。
これから教室を開く際には、「オンラインや家庭学習では得られない、自分の教室ならではの専門性や体験価値は何か?」を深く考えることが、生徒さんや保護者の方に選ばれるための重要なポイントになります。
専門的な指導、特別な環境、仲間との交流、学習習慣など、オンラインや家庭学習では得られない「教室ならではの価値」を提供できるかが重要です。
6. ジャンル選びと教室コンセプトへのヒント(運営者の声)
では、これらの動向を踏まえ、これから教室を開く方は何を考えれば良いでしょうか?
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自分の「情熱」と「得意」を見つめ直す
市場のトレンドも重要ですが、最も大切なのはあなた自身が情熱を持って取り組める分野であることです。あなたの経験、知識、スキル、そして「好き」という気持ちが、教室の魅力の源泉になります。 -
市場ニーズとの接点を探る
あなたの「やりたいこと」と、保護者が求めている「未来スキル」や「非認知能力育成」などのニーズとの間に、どのような接点を見つけられるか考えてみましょう。例えば、音楽教室でも「表現力や協調性を育む」という視点を加えることができます。 -
ターゲットを絞り込み、専門性を打ち出す
幅広いニーズに応えようとするより、特定の年齢層や目的に特化することで、専門性が高まり、独自の強みを打ち出しやすくなります。(例:幼児専門プログラミング、コンクールを目指すピアノ教室など) -
教室ならではの「体験価値」を設計する
あなたの教室でしかできない体験は何か? オンラインでは得られない価値は何か? を考え、レッスンの内容や教室の環境に反映させましょう。
「私は元々クラフトが好きで教室を開いたのですが、最近は保護者の方から『手先の器用さだけでなく、自分で考えて作る力もつけてほしい』という声をよく聞くようになりました。 そこで、単に作り方を教えるだけでなく、子供たちが自由に素材を選んでオリジナルの作品を作る時間や、グループで協力して一つのものを作り上げるプロジェクトを取り入れたんです。 私の『好き』と保護者のニーズを組み合わせることで、教室のコンセプトがより明確になり、共感してくれる方が増えたように感じます。」 (工作教室運営者の声)
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自分の「情熱」を軸に、市場ニーズとの接点を探り、ターゲットを絞って専門性を打ち出す。
そして、教室ならではの「体験価値」を明確にすることが重要です。
7. まとめ:時代のニーズを捉え、あなたの教室を創り上げよう!
少子化が進む中でも、子供たちの成長を願う保護者の想いは強く、習い事へのニーズは多様化しながら存在し続けています。
「未来スキル」「非認知能力」「心身の成長」「専門性・体験価値」といったキーワードは、今の保護者が習い事に何を求めているかを理解する上で重要な視点です。
これから教室を開業される方は、これらの時代のニーズと、ご自身の「やりたいこと」「できること」を掛け合わせ、独自の価値を持つ教室コンセプトを創り上げていくことが成功への道筋となるでしょう。
この記事が、あなたの教室づくりの第一歩を力強く後押しできれば幸いです。
8. 参考情報リンクと注意点
この記事を作成するにあたり参考にした調査データや関連記事の一部をご紹介します。(※リンク先の情報は変更・削除される場合があります。また、調査結果はあくまで傾向を示すものです。)
- 令和の子どもの習い事事情とは?(アクサダイレクト生命調査より)- データのじかん
- 子育て世帯における「子どもの初めての習い事」 市場調査2024 - コズレ
- 子どもの習い事ランキング【2025年最新版】 - コエテコ (学研調査より)
- 【2024-2025年版】子供に人気の習い事ランキング - PR TIMES
- 【子供の習い事】ランキング! - アニヴェルセル総研
- 【2025年版】小学生に人気の習い事ランキング! - ヒューマンアカデミー
- 2024年プログラミング教育市場規模調査 - PR TIMES (GMOメディア)
- 非認知能力を伸ばす習い事9選 - comotto (docomo)
- 非認知能力は幼少期に育てよう!習い事8選 - Mint Desk
- 東大生100人にアンケート!非認知能力を育てる習い事とは? - CARPEDIA
- 小学生に人気の「習い事」とは? - ベネッセ教育情報 (少し古いデータ)
【注意点】
・情報は常に変化します。最新の動向にご注意ください。
・データはあくまで全体的な傾向です。地域性や個々の家庭のニーズは異なります。
・最も重要なのは、ご自身の地域の保護者や子供たちとの直接的な対話です。